C-⑧ 心臓性神経衰弱

 

O,霊的原因による疾患                      〔天狗について〕
天狗界は大体、各地の山嶽地帯の霊界であって、天狗なるものは、それぞれの山の守護としての役を司ってゐるのである。又名山などで、高級な神霊を鎮祭する所では、その神霊の下にあって、山に関する種々の業を司ってゐる。天狗界にも上中下の各階級があるのは勿論であり、総主宰神は鞍馬山に鎮座まします猿田彦命である。

 

 天狗には、人天及び鳥天の二種がある、人天とは人霊であって、現世に於て学者、文士、弁護士、教育家、神官、僧侶、昔は武士等の天狗的職業の者が、死後天狗界に入るのである。そうして鳥天とは、鳥の霊であって、鳥は死後悉く天狗界に入るのである。鳥天の中鷲や鷹の類は、現界と同様の威力を発揮して居る。(中略)

 

烏天狗は烏の霊であって、之は天狗界では神的行事を司り、特に神聖なる階級とされてゐる。戦争等の場合、産土神の出陣の時、烏の霊が扈従(コジュウ)し、非常な働きをするそうである。又、木葉天狗といふのは小鳥の霊であって、之は伝令等の使者の役をしてゐる。

 

 昔から、天狗を鼻高と称へ、絵画や面など非常に鼻を高くしてゐるが、之は事実である。又赤い顔になってゐるが、天狗には酒豪が多いので、それを表徴したものであらう。(中略)

 

天狗の如きは高慢にして人に屈する事を嫌ふ人士の想念がそのままの形となって表はれたものである。従而、醜悪なる想念の持主は醜悪なる面貌となり、善美な心の持主は、善美な容貌となるので、実に霊界に於ける事象は、凡て欺瞞は許されないのである。そうして死後想念が面貌へ表はれるには数ケ月乃至一年位までとされてゐる。(中略)

 

 次に、修験者等が深山へ入り、断食や水行等の荒行をなし、一種の神通力又は治病力など、種々の霊力を得るといふ話がよくあるが、それ等も天狗が憑依するのである。

 

斯ういふ天狗は一種の野心をもち、その人間を傀儡(カイライ)とし、現世に於て名誉又は物質等を得て、大いに時めく事を望んでかかるのであるが、之等は正しい意味に於ける神憑りではないので、一時は相当の通力を表はし、社会に喧伝せらるる事もあるが、時を経るに従ひ、通力が薄くなったり、其人が滅びたりして大成する者はないのである。(中略)そうして人間は断食や病気等によって心身共に衰弱する時、霊が憑依し易くなるものである。(中略)

 

 又、理屈や議論を好み、横車を押したり、酒に酔ふと理屈を言ひ出す人などよくあるが之等も天狗の憑依者である。

 

 茲で、飲酒癖に就て解説してみよう。(中略)

 

酒癖の原因は、酒を好む霊が憑依し、常に腹部に蟠居して居るのである。故に酒が腹中に入るや、その霊が酒の精を吸収するのであって、其結果、酒の体(タイ)は非常に減量するので、例へていへば一升の酒が一合以下になるといふ訳であるから驚くほど多量に飲めるのである。丁度、腹中に酒を吸ふ海綿があるやうなものである。

 

 そうして右の霊とは、天狗及び狸が重なるもので、稀には龍神もあるのである。酒を飲むと理屈を云ひ、盛んに議論をしたがるのは天狗の霊であり、又愉快になり笑ったり眠がったりするのは狸の霊である--と識るべきである。

 

 右の理によって、酒癖の人に対し、腹中に向って本療法を施すに於て、如何なる人と雖も酒量が減ずるのである。それは少量にて酔ふやうになるからで、以前五合飲んだ時の酔の程度が一合で同じようになるのである。それは酒を吸収する霊が畏縮するからである。之等も霊医術の特異的効果であらう。

 

故に、本医術の修得者は、如何に酒癖のある人と雖も漸次それが治り、一二合以上は飲めないといふ普通人の程度になるのである。従而、本医術の治療士には酒癖の人は一人もないのである。(中略)

 

 茲で面白い事は、天狗の再生又は天狗霊の憑依者の面貌は鼻が高いのが特徴であり、理屈っぽく自慢を言ひたがるものである。そうして下座が嫌ひで人より上へ立ちたがり、又人の話を聞くよりも話を聞かせたがる事を好むのである。

 

 又鳥天の憑依者は、鳥の特色を表はして居るから口が尖り、声は鳥の如き単調音にて、性質は柔順で争ひを好まないから人に好かれるのである。特に鳥霊の憑依者は空中飛翔の夢をよく見るものである。」         (「天狗界」明医三  S18.10.23.)

 

             (類似「天狗界」天  S22.2.5.)




「(中略)普通量の飲酒は兎も角、大酒癖は霊的原因に由るのである。というのは大酒家の腹中には天狗、狸、稀には龍神の霊もあるが、それ等が、蟠居し酒を嗜むのである。腹中の霊は酒の精気を吸収するので、之によって酒の量は何分の一に減少する

 

世間よく水一升は飲めないが、酒一升なら飲めるというのは右の理に由るからで、恰度腹中に海綿があって吸収するようなものである。そうして酩酊するや理屈を言いたがり、議論を吹かけ、高慢になるのは天狗の霊であり、酩酊するや御機嫌が好くなり、大いに嗤ったり、眠たがるのは狸の霊である。龍神は酩酊するや目がすわり、執拗に絡むといふ癖がある

 

 大体右の三種であるが、その面貌をみてもよく判る。天狗らしき風貌狸らしき顔龍神は絵画、彫刻等に見る如くで、人間にあっても目が窪んで光あり、顴骨隆く、額角張り、痩型である。

 

酒乱といひ、酩酊するや常識を失ひ、精神病的粗暴の行動をするが、之は大抵人間の死霊が憑くので、生前大酒の為頭脳組織が破壊され、それへ動物霊が憑依する等の為であり、悪質は狂暴性を表はし、周囲の者を困らすのである。(中略)従而大酒家自身も矯正しようと何程努力をしても効果はない。前述の如くその原因が腹の中に居る、形無き御客様の為だからである。(中略)」

 

             (「酒と宗教」信  S24.1.25.)