D-⑥ 肺尖カタル(肺門リンパ腺炎)
「(中略)扁桃腺切除の結果、一二年は確に効果はあって、風邪発熱は、大いに減少するが、それから後が問題である。何となれば、排膿口たる、扁桃腺を失った為に膿は、自然淋巴腺及び耳下腺に溜結するからである。其結果反対の方面、即ち耳孔(ジコウ)から、排泄されようとするので、それが、中耳炎である。
然し、中耳に排泄する力さへ有たない、弱体者の膿結は時の経過に依って、膿悪性になってゆく、それは、微熱を伴ふ様になるのである。そうなると、咽喉(ノド)が乾燥するから、軽微の咳嗽もあり、且つ、風邪に罹り易くなるのである。
此症状の時、殆んどの医師は、肺尖加答児と誤診するのである。それは、其症状からいへば、無理もないのであるが、実は此時の肺は何等異状は無いのである。そうして、肺患の治療を始めるが、其治療は、病症に適合しないが為に、漸次、衰弱を増し終には、真の肺患症状にまで進むのである。」
(「扁桃腺肥大は切らずに完全に除去さる」S11.4.11.)
「(中略)先づ、発熱の原因は種々ありますが、その「熱発部」としては-淋巴腺及び耳下腺、頸腺、首の付根、肩部、脊部、胸部、腹部、腰部-等であります。診査の際、掌を宛つれば、熱のある個所はよく判るのであります。その熱発部を指査し、特に痛む個所は-水膿溜結であって、それを溶解すべく「熱の工作」が起りつゝあるのであります。
胸部の熱発は、胸骨に水膿が溜結してゐる証拠であって、指圧すれば必ず痛みがあります。
之等の症状の場合-先づ「肺尖加答児」又は「肺門淋巴腺」-といはれるのでありますが、吾々の見る所では-此際肺には未だ異常はないのであります。」 (「肺結核及び喘息」療講 S11.7)
「肺尖-肩が張って熱をもつもの。肺門とい
っても殆んど肩胛骨辺がわるい。元肋膜やっ
た人はよくこゝに残ってる。こゝで眩暈する
事よくあり、とても溜り易い。」
《 図6》