8-① 発熱(熱病)と急所
「(中略)然らば、発熱とは如何なるものであるかと言ふと、之は自然治癒の工作上、実に重大なる役目をしてゐるものである。それは心臓が、霊界から火素、即ち太陽熱を吸収して、病気を解消すべく、必要量丈を供給するのである。発熱の際、鼓動の昂く多数なるは、其活動の旺盛期を示してゐるのである。又、発熱前の悪寒は、心臓が患部への熱量供給を専らとする為、其間全体的熱量供給が減殺さるるからである。(中略)
心臓は熱の仲介機能であって、熱そのものは無尽蔵に霊界に充ちてゐるのであるから、何百日と雖も治病に必要な発熱は継続する訳である。
病気治癒に当って、熱は最も偉大なる功績者である。それは、あらゆる膿汁の溜結や喀痰の凝結を解溶し、殺菌等をするからである。故に、熱を醒す如き療法は、折角の自然治癒を、全く妨害する事となるのである。
然し、医家は曰ふであらふ。本来の病気は熱によって治癒するであらふが、高熱の為に他の障害、例えば、脳を犯す等の事があっては、生命に係はるとの心配である。然し、私が、幾多の実験上、決して其憂は無い事を知ったのである。
故に、風邪の如きも発熱を其儘放置してをけば、至極順調に、速かに、治癒さるるのである。よく世間風邪を拗らすといふのは此理を知らないから、肝腎な発熱を醒す為なのである。又、肺結核の経過不良と、治癒に時日を要するのは、全く解熱剤服用の誤が、大なる原因をなしてゐる。
又、発熱は衰弱を増すといふ事を懸念するが、之も実は的外れであって、成程、衰弱を増すのは事実であるが、解熱に由る病状悪化の為の衰弱の方が、より大なるものがある事を知らなければならないのである。」 (「痛みと熱」医書 S11.4.13)
「身体の一部に病気が起るとする。之は汚毒を排除しよふとする為の症状で、それを溶解する為の熱である事は、充分お解りになったと思ひます。然らば、其熱は一体どこから出るのかといふと-、儻(すぐれ)し身体自身から熱が出るとすれば、平常身体のどこかに其熱の貯蔵所がなくてはならぬ筈で、其貯蔵所は常に火の如に熱くなければならない。
処がそういふ所は全然なく、病気になるとどこからか出て来る。実に不思議であります。然らば一体何所からどうして熱といふ素晴しい膿結溶解作用が出て来るかといふ事でありますが、此最も肝腎な事が今日迄更に判ってゐないのであります。
三界の説明にもある通り『霊界は太陽熱』即ち火素が主となってをります。此火素が発熱の素なのであります。即ち、熱を要する場合心臓は旺んに此火素を吸収する。其吸収旺盛の為に鼓動が激しいのであります。又、心臓が火素を吸収せんとする時寒気がしますが、あれは病気治癒に要する熱を取る為に、身体全部への必要量の吸収を一時停止するからであります。(中略)」
(「痛みと熱」療講 S11.7.)
「(中略)元来発熱の場合、その発熱の根拠は、実は一局部である。然るに世人は全身的と想ってゐるが、それは大いなる誤りである。私が治療の際、四十度位の高熱者を診査する場合、指頭位の固結の浄化作用が原因であるので、其固結を溶解するや、全身的に忽ち解熱するのである。
そうして強度な浄化作用は全身的に発熱するが、弱い浄化作用は局部的放射状であって、その局部の周囲(勿論大小はあるが)以外は無熱である事である。従而、体温器を腋窩(ワキノシタ)に挾む場合、其附近の病気、例えば腕の付根の毒結の浄化作用又は肋間神経痛等があれば有熱となって現はれるが、其際離れたる股間、腎臓部、頭部等は無熱である。
故に、実際上、右の腋窩と左の腋窩によっても多少の差異がある事である。甚しきは五分位差異のある人がある。右の如くであるから体温器による計熱法は不完全であるといふのである。
然るに、私が行ふ計熱法は、如何なる微熱と雖も発見し得らるるのである。それは掌を宛つれば一分の十分の一の微熱と雖も明確に知るを得るのである。然し、之は相当熟練を要する事は勿論であるが、普通一年位経験すれば何人もなし得らるるのである。」
(「発熱」明医二 S17.9.28)
「(中略)発熱とは毒結溶解の為所用の熱を多量に吸収するからで、発熱時鼓動の頻繁はその為である。(中略)次に注意すべき事は、発熱の場合世人は全身的と思ふが、実はその殆んどが局部的である。例へば高熱の場合、指頭を以て発熱の焦点を探査する時、指頭位の小塊を発見する。之は火の如き強熱さでよく判明する。それを溶解するや忽ち全身的に解熱するのである。」
(「発熱」天 S22.2.5)
「(中略)喘息及び原因不明の熱性病等の場合も右の如く頭脳の浄化が原因である事が多く、従而凡ゆる熱性的疾患に対し、頭脳の施術を一応試むべきである。」 (「頭脳の重要性」天 S22.2.5)
「(中略)だから首の周りや肩などには触っても構ひません。このさわるといふことは熱の有無を見るのであって、急所も大体上半身が主です。で、第一の急所は耳下腺、頭部淋巴腺、第二は後頭部です。患者の額に触って熱い時はその原因は額の奥か後頭部か耳下腺にあるとみていい。だからまづ額を御浄霊してみる。そして暫くして一寸でも熱が下ってゐれば額の奥に原因があるとみていゝ。それでも下熱しなければ耳下腺をやってみる。それでも駄目なら後頭部、未だ下らなければ肩をやる。この順序にやってみれば熱性病は十中八、九いゝです。こういう個所に熱が出るために咳や痰が出たり、頭がボーッとして、憂鬱になったりするのです。(中略)」
(「光話」 S23.12.8)
「(中略)それで急所ですが、原因は大抵熱です。それは何と言っても頸の廻りです。今の浄化している人をみると殆ど頸の廻りです。十人の内八、九人迄そうです。それで頸の廻りの固りを発見するのです。それに一番良いのは、前から頸、延髄の後の方をみるのです。そうすると一番良く分る。反って後を向かせるよりか分ります。
そうすると之(頸部)の左か右のどっちかが必ず腫れてます。そうすると下の方から手を入れてみると、此処(延髄)にグリグリがあります。そうしたら離して力を入れないでやる。そうすると熱を取るのには一番早いです。そうして指で一寸やると直ぐ分ります。
それから額が肝腎なのです。それから人に依ってはこうして(頭の上部より)頭の芯(シン)の方をやっても良いです。それから今言う此処(額)です。之で熱は大体取れます。あと背中の熱とか腰の熱がありますが、これは何でもありません。結局頸の熱です。今その見方と頸の熱の取り方を話したのですが、そういう方針でやって御覧なさい。
それで後の固りは、後向きになってやるより前からみた方が反って分ります。それから片方の、右が固くて左が柔かいというのがあります。それから下顎に固りがあります。結局頸の廻りを一番みるのです。そうすると大抵分ります。(中略)」
(「御教集16号」 S27.11.15)
「よく御守護電報が来た時に見ると、熱の病気と言いますか、その苦しみというのが一番多い様です。ですから熱を取る事です。熱の原因を今教え様と思ってますが、熱は殆ど頸の廻りが十中八、九です。頸の廻りの次が頭、腰です。背中や胸という事は滅多にありません。
よく肺病などで胸に熱があると言いますが、あれは胸から熱が出るのではありません。若し胸から出るなら肋間神経痛です。骨から出る事があるが之が肋間神経痛です。だから肺から熱が出るという事は肺炎以外にありません。結核ではありません。結核の熱は大抵頸の廻りです。それから肩の事もありますが、大抵頸の廻りです。その頸の廻りから出る熱を、肺からと間違っているのです。
それを発見するのに一番良いのは、前に坐らせて斯う(不明)みるのです。延髄から少し横の方に固りがある。斯うしてみると必ずどっちかに固りがある。そうして斯うしてみると、此処にグリグリがあります。それから人に依っては顎の下にグリグリがある。ですから此処(頸部)をやると必ず熱は下ります。
それからくっつけてはいけません。それで離すと草臥(クタビ)れるから小指をつけて、少しも力を入れないで気持丈を通してやると、案外早く熱は取れます。之が一番の急所です。それから額にいって、此処をやると取れる事もありますし、頭脳の中心を此の位(少し)離して真中を狙ってやるのです。それから一尺位離して額の奥の方をやるのです。そうすると大抵の熱は冷めます。
それから又胸に痛みの無い場合は、先ず此処から熱は出ないと思って良い。それから腰から熱が出る場合がありますが、之は訳なく治ります。それ丈覚えて置くと間違なく冷めます。それで斯う(御浄霊)やる場合に、力を入れると溶けが悪いから熱は冷めません。だから出来る丈力を抜くのです。そうすると割合早く熱は冷めます。頭痛などというのは早く取れます。肺病は胸から出ると思っているから、いくらやっても熱は冷めるわけがありません。見当違いだからです。
それから股から熱が出る人が沢山ありますが、それは局部的でその部分だけです。全身的の場合は極く強い場合で、普通は全身的という事はない。頸から頭の方は全身的になります。(中略)それは要するに急所を知らない為と浄霊に力が入る為です。」
(「御教集16号」 S27.11.16)
「(中略)それから頭でも、今のは後の方でしたが、人によっては前の方に相当毒がある人があります。これは額を触ってみれば熱がありますから、すぐ分ります。それで熱も、額の中から来る熱と淋巴腺から影響される熱と二つあります。中からの熱は、触ってみると芯(シン)から熱があるようにみえます。それから淋巴腺から影響する熱は、芯に熱がなく、どこか浅い感じがします。熱に力がないような感じがしますから分ります。そういう気持で、熟練すればなお結構ですが、普通でも大体分ります。
それからこめかみに熱があるものです。この熱が非常に苦しいのです。こういうのはやはり横から浄霊するのです。それから頭の芯に熱がある人が随分あります。これは上からやればよいです。体と違って、頭の方は手は少し接近してもよいです。それから淋巴腺に熱の無い人はないくらいなものです。中耳炎は無論この毒が溶けたものです。それから歯の痛いのもやはりこれです。何処かに固まりがあります。それから舌が吊るというのもこれです。(中略)」
(「御教集22号」 S28.5.5.)
「だから病気を治す場合にも、私は何時も額を触りますが、額の熱で大体分ります。又熱にもいろいろあって、深い所の熱浅い所の熱があります。浅い所の熱は、芯の方の深い所は熱くないのです。それから深い場合は芯の方から熱くて、浅い所は大してないのです。これは質(タチ)が悪いのです。こういうのは浄化が重いのです。そういうように重さ軽さが分ります。又咳が出る痰が出るという事も直ぐ分ります。此処だと思う時は必ず咳が出、痰が出ます。そうすると其処に毒素があるのです。(中略)」
(「御教集23号」 S28.6.6)
「(中略)それからもう一つ肝腎な事は、女というものは割合にヒステリーなどが起こります。憂欝的になるのです。イライラするとか、頭が重いとか、頭が晴れ晴れしないという事は、女は男よりか自由のないという事もありますが、(中略)その原因は何処にあるかというと、そういう女の人は必ず前頭部に熱があります。前頭部に熱があるとイライラするのです。ところが前頭部に熱があるという事は其処に毒があるのですが、この毒というものは何処からかというと下からです。
ですから前頭部を浄霊すると共に、下の陰部も浄霊しなければならないのです。陰部を浄霊すると前頭部の熱も冷めます。そうすると気持良くなります。しかしみんな此処に気がつかないのです。これは浄霊ですから離してやるのですから何でもありません。ですからそういう場合には頭をやると共に下の方もやるという事を心得ておくのです。そうすると効果が倍になります。(中略)」
(「御教集24号」 S28. 7.16)
「(発熱の場合額に出る事が多いのは・・・)前額には、大抵の人は毒があるからである。短気の人など診ると必ず額に熱がある。犯罪者などは必ずこゝに熱がある。今一つは扁桃腺下の首の部に毒があり、浄化熱の出る場合前頭部に有熱する。」
(「地天13号」 S252.20)
「(中略)身体中で塊の固い所と、押して痛い所が熱の因となる。次に平均浄化が起るから、次の塊をやればよい。一番多いのは首の周り、延髄――大抵右の塊。肩のコチコチ。背中も多い。
肩胛骨の所、腎臓の下の横、股の淋巴腺――陰部に近い方、之が発熱の急所である。ここを査べれば必ず熱が下るものである。」
(「講話集補」 年代不詳.)
《浄霊》 指頭位の発熱の焦点、固い所と痛い所、
首の周り、延髄(大抵右の塊)、肩のコチコチ、背中、
肩胛骨の所、
腎臓の下の横、股の淋巴腺――陰部に近い方、