8-⑦ 浮腫及び寝汗と発汗 〔浮腫(むくみ)と脂肪肥り〕
「浮腫(ムクミ)は、其原因として二種ある。それは、腎臓及び膀胱の支障である。そうして腎臓が原因の場合は、腎臓疾患の説明中にある如く腎臓萎縮に因る余剰尿が原因であって、軽きは局部的、重症は全身的に及ぶのである。
又、浮腫が左右孰れかに特に多い場合がある。それは、浮腫の多い部の腎臓が萎縮してゐるのである。そうして浮腫の殆んどは、腎臓萎縮が原因であるが、稀には膀胱が原因である事もある。それは輸尿管末又は膀胱から尿が尿道へ通過の口許に粒状膿結が閊(ツカ)える場合、尿の通流に支障を来し、浮腫の原因となる事がある。然し何れにせよ両者共、毒素溜結を溶解するに於て、容易に而も完全に治癒さるるのである。
茲に面白いのは慢性浮腫である。之は急性は直ちに判明するが、慢性に到っては不知不識の間に溜るので、医家は勿論、本人さへ気がつかないのである。そうして慢性浮腫は、漸次的に数年又は数十年に及んで、皮下に凝結するのであって、肥満した人に最も多いので、斯の如き人は、病的肥満であるから、常に故障が起り易いのである。(中略)
それは、女学生で非常に肥満し而も固肥りで、一見体格優良者にみえるので、学校医健康診断の結果、其県下に於ける模範健康者三人の中に選ばれたのであった。然るに、偶々胸部に痛みが発生し全身的重倦く、腹部が脹り、腰が重いといふので私の処へ来た。
診査してみた所、驚くべし、前述の如き全身的浮腫の凝結した肥満なのであった。それで治療の結果急激に尿量が増し、体重二貫目以上減じて、真の健康になったのである。斯様な症状は相当多いのであるから、健康そうにみえる体格の持主と雖も大いに注意すべきである。
又、浮腫の患者であっても、尿に蛋白のない場合、医家は、原因は腎臓でなく心臓にあるといふが、之は馬鹿々々しい程の誤りであって、心臓は尿とは関係がないのである。之等は蛋白のみによって腎臓病の有無を診断する為であって、無蛋白腎臓病の存在を知らないからである。(中略)」(「浮腫及び盗汗」明医二 S17.9.28)
「浮腫は其原因に二種ある。普通は腎臓萎縮又は膀胱の支障であって、腎臓萎縮は一般的浮腫の原因である。重症は全身的、軽症は局部的で、例へば左右孰れかの半身又は下半身といふやうな事もある、然し乍ら局部的と雖も顔面又は片腕、脚等の場合は萎縮腎でなくその浮腫部にあった固結毒素の浄化溶解の為である。
茲に注意すべき事は種々の病気が重症に進む場合、脚の甲に浮腫発生する事がある。之は死の信号ともいふべく、先づ恢復困難と見るべきである。又脚気の浮腫は膝下(シッカ)に限るとみていいので、医診は足部に浮腫さへあれば無差別的に脚気と断定するが、軽率も甚しいのである。
次に医家も世人も全然気付かない浮腫がある。之は女学生に最も多い症状で、頗る肥満し、俗に固肥りといふ訳で一見非常に健康そうに見えるが、健康でない證拠は常に疲労し易く、動悸、息切(イキギレ)、身体重量感等種々の支障が起り易いのである。此原因としては、萎縮腎に因る余剰尿が全身的に少量づつ溜積しそれが長時日に渉り固結するので、勿論本人は気付かないのである。故に少量の食餌を摂るに拘はらず肥満する人があるが、それは右の如き人である。
又膀胱と尿道との境に結石、又は膿結が閊(ツカ)へその為尿の流下が妨害され、浮腫の原因となる事もあるが、之等も本医術によれば容易に治癒するのである。」 (「浮腫及び盗汗」天 S22.2.5)
「(中略)又漢薬常用者は、特に顔色が蒼白であるからよく分る。中国人の殆んどが黄色なのはその為であらう。又之が腎臓に及ぼす影響も相当なもので、浮腫の原因となる。中年以上の婦人で青ん膨れの人をよく見受けるが、之と思へば間違ひない。(中略)」
(「薬毒(一)」医革 S28.)
「「腎臓という機能は、尿の処理機関であるのは誰も知っているが、この病気は初め薬毒が背面腎臓部に溜り固結するので、これが腎臓を圧迫し完全に尿の処理が出来なくなる。即ち萎縮腎である。このため余剰尿は腎臓膜を滲出し、全身に氾濫する。これが浮腫である。(中略)」 (「腎臓炎乃至腎臓病」ア救 S28.1.1)
「(膝から下に浮腫)それは薬毒ですよ。薬毒が垂れていつて、浮腫んでいる。それから、手が浮腫むのは、大抵注射です。注射が溶けると、手が浮腫みますからね。(中略)」
(「御教集4号」 S26.11.8)
「世間よく脂肪肥りという言葉があるが、之は間違いである。何よりも若し脂肪で肥るものならば、肉食者は肥り、菜食者は肥らない訳だが、事実は其反対の事の方が多いのである。では肥る原因は何かというと真の健康で肥る人は寔に少なく、殆んど腎臓萎縮と薬毒の為であって、そういう人に限って身体が重く、充分働けないものである。
そうして漢方薬中毒の人に肥っちょが多いもので、よく青ん膨れというのがそれである。又前者は萎縮腎で、尿の処理が悪いから浮腫が出る為であり、近来女学生などに肥っちょの多いのも、授業中などの場合男子と異って、便所へ行くのを億劫がるから、尿が腎臓の周囲に溢れて固まり腎臓を圧迫するので、其又余剰尿が身体中へ廻って、段々肥って来るので、之を吾々は小便太りと云っている。(中略)
後者は薬毒が少しづつ溶けては全身的に溜るので、此肥り方は局部的、変則的が多いからよく分るのである。」
(「脂肪肥り」 S27.6.11.)
「(中略)この浮腫ですね。腎臓の浮腫と薬毒の浮腫と両方ありますから、例えて見れば、片方の股つ玉だけとか或いは腰の廻りだとか、お腹だとか、そう云う局部的の浮腫は、そこに固まつていた薬毒が溶けて来て出きらないで、しばらく溜るのです。それから腎臓の浮腫はもつと大きな――全身的ですね。中には半身の場合もありますが、つまり顔がむくんで瞼が重いとか、体全体が重いとかですねそう云う風に心得て置けば良い。之は局部的の様ですからね。勿論腎臓も大事ですが浮腫のある所を浄霊すれば良い。(中略)」 (「御教集1号」 S26.8.8)
「(中略)その浄化ですね。薬が溶けると、みんな浮腫みますからね。腎臓でなくね。腎臓も腫れるんですが之は薬が溶けて腫れるんです。御浄霊の方法――方法は始終教えている。個所ですか。方法と個所は違う。之はあなたがやつているんですか。
(家族が致しております。)
方法はあなたが教えてやつたら良いですよ。個所は腫れている処とか、痛みとか熱のある処とか、其処をやれば良いんだからね。之は治りますよ。」 (「御教集8号」 S27.3.16)
「(中略)又足の甲に浮腫が来ると大抵は駄目である。然し甲の上から上方へ平均して浮腫のあるのは一般的病気症状で、之は生命には関わらぬ。(中略)」(「臨終を知る法」教えの光 S26.5.20)
「(足の甲の浮腫みについては)死の前と言う意味ですね。大した意味はないですね。やつぱり薬毒で――足の甲なんてのは、つまり浮腫むべきものじやないんです。そう言うものは浮腫まないうちに、他に排泄されるものですがね。腎臓で排泄されない人は体が弱つているから、凡る汚物は下に下にと下がります。
それを途中で処分するだけの力がなくなつているんですね。そこで、生命を保持する事が出来なくなる。足の甲ばかりじやない。よく口が乾きますね。唾が出なくなる。あれがそうです。唾と言う粘液を出す力がなくなるんですね。」
(「御垂示2号」
S26.9.8)
《浄霊》
全身的:腎臓
局部的(顔面、片腕、脚等):浮腫部
膀胱の支障に因る浮腫の場合:膀胱から尿道への口許の粒状膿結部