B-⑥ 咽喉(のど)疾患
⑥-1,扁桃腺炎
「近来、よく、扁桃腺祓除の手術をするが、之等も非常に謬ってゐるのである。其訳は、人間の血液は、絶えず浄化作用を行はれつつ其結果として、血液中の不純物が膿汁となって、一旦頸部に溜積さるるのである。それが、尚も外部へ排泄せんとする時、扁桃腺なる最も好適の出口を求めるのである。
故に、扁桃腺祓除の暁は、膿汁は、出口を塞がれたるを以て、淋巴腺又は耳下腺等に、溜積せらるるが故に、却て、扁桃腺よりも、膿汁排泄に非常に困難を来すのである。即ち、淋巴腺へ膿汁滞結すれば、瘰癧となり、耳下腺へ滞溜すれば、中耳炎の原因となるからである。」 (「手術」医講 S10.)
「(中略)腺病質と言はるゝ児童は、必ず左右の耳下腺、淋巴腺、扁桃腺に、水膿溜結を見るのである。それ等膿結は、人体に於ける、自然浄化作用に因って、絶えず外部へ排泄されんとしてゐる、そして其排泄口が、即ち扁桃腺であるから、扁桃腺肥大は、其排膿が、停滞固結してゐる状態なのである。
それは、其児童が、弱体の為に排泄する力が足りないからである。若し其児童の健康が、旺盛であれば、心臓が活動し、熱を吸収して、其停滞膿結を溶解排除して了ふものである、それが即ち急性扁桃腺炎なのである。
扁桃腺切除の結果、一二年は確に効果はあって、風邪発熱は、大いに減少するが、それから後が問題である。何となれば、排膿口たる、扁桃腺を失った為に膿は、自然淋巴腺及び耳下腺に溜結するからである。其結果反対の方面、即ち耳孔(ジコウ)から、排泄されようとするので、それが、中耳炎である。然し、中耳に排泄する力さへ有たない。弱体者の膿結は時の経過に依って、膿悪性になってゆく、(中略)」
(「扁桃腺肥大は切らずに完全に除去さる」観十号 S11.4.11.)
「(中略)扁桃腺を除去するとする。成程、扁桃腺炎は起らないが、それに更るに、他の、疾患、淋巴腺、耳下腺、中耳炎、肺尖加答児等に罹り易い」 (「西洋医学の大誤謬(一)」 明医S11.5.15)
「扁桃腺は、外の方から指触すれば直に腫が判るので、診査は極容易であります。よくルゴールといふ薬で焼くが之は面白くないやうです。此療法は、私も昔随分やられましたが、反って長びいて慢性になりやすいのであります。焼く為に一週間も二週間もかかります。私は焼かなくなってから二、三日で治るやうになったのであります。」 (「扁桃腺炎」療講 S11.7.)
「(中略)扁桃腺や淋巴腺は後から擦ると解け易い。風邪は後頭部両側どっちかをやれば必ず治る。」
(「特別講習会御講話」 S15.4.2.)
「(中略)扁桃腺なるものは何が故に存在するのであるか、私の発見によれば、非常に重要なる使命を果してゐるのである。それは人体に於て、最も毒素が集溜し易いのは頸部淋巴腺附近である。そうして此集溜毒素は、浄化作用によって排泄されなければならないので、曩に説いた如く、第一浄化作用によって一旦扁桃腺に毒素が集溜し、凝結し、それが第二浄化作用の発熱によって溶解し、液体となって排泄せらるるのである。
即ち、扁桃腺は、毒素の排泄口である。此理によって、扁桃腺の起った場合、放置しておけば、浄化作用が順調に行はれ、普通二三日で治癒するのである。」
(「扁桃腺炎、盲腸炎、手術」明医二 S17.9.28.)
「(中略)次に扁桃腺炎であるが、之も淋巴腺附近の毒素が、日を重ねるに従ひ、扁桃腺に固結し高熱によって溶解、粘膜を破って排泄されるといふ極く簡単な浄化作用で結構なものであるが、医学はルゴール等の塗布薬を用ひ、浄化を妨害するので拗れると共に、遂に膨大し手術の止むなきに至るのである。
故に読者諸君は試みに、今度扁桃腺の発った場合、何もせず放っておいてみられたい。すると短時日で順調によく治って了ふばかりか、起る毎に段々軽くなり、遂に全治するのである。之は私が慢性扁桃腺炎を治した経験と、多数の人に教へた結果、例外なく根治したにみても確実である。(中略)」
(「腎臓病と其他の病」文創 S27.)
「世間よく扁桃腺炎を根治する目的で、扁桃腺を除去する事が、常識のやうになってゐるが、最近の学説によれば、扁桃腺は貴重なもので、除去しない方が可いとされて来たといふ事である。全く除去した結果は他に悪影響を及ぼす事が分ったからで、実に喜ばしい限りで、私が長年唱へて来た説が、漸く認められるやうになったもので、満足に堪へないのである。
そこで扁桃腺といふ機能の意味から扁桃腺炎の原因に就いてかいてみるが、人間は誰しも上半身の毒素は、頸部淋巴腺に最も集中し易いので、そこに毒素の溜結が出来るので、大なり小なり此溜結のない人は殆んどないといってよかろう。
すると此溜結毒素は出口を求めやうとし、少しづつ溶解し、一旦固まる処が扁桃腺であるから、或程度固まるや、高熱が出て溶解し、自然に穴が穿いて、毒素は排除されるのであるから、扁桃腺なるものは実に上半身毒素の掃け口とも云っていいもので、若し扁桃腺がなくなったとしたら、毒素は止むなく他の部に溜結する事となる。
之が脳神経衰弱や中耳炎、歯痛、鼻の病気等の原因となるのであるから、結局小の虫を殺して、大の虫を助けるといふ結果になる。何よりも扁桃腺除去後数年間は風邪など引かないので効果あったやうに思はれるが、何ぞ知らん年月が経つに従って色々な病気が発るのである。処が、其原因が分らない為、仕方なしいい加減な病原を付けるのである。」 (「扁桃腺炎」文創 S27.)
(「手術に就て」医革 S28.類似)
「(中略)彼の扁桃腺除去によって扁桃腺は起らないとしても、淋巴腺や耳下腺炎が起りやすくなり、頭脳にも影響してその活動力が鈍化し、根気が薄くなり、集中力が薄弱になるのは、吾々が常に経験する処である。」(「医学の発見に就て」未定稿 年代不詳)
《浄霊》 頸部淋巴腺附近及び扁桃腺(主に後から施術)、耳下腺、